現場に降りれば、必ず好かれるわけではない

現場に降りる戦略家は貴重だ。

机上の空論を語らない。

一次情報を取りに行く。

実装まで責任を持つ。

本来なら歓迎される存在のはずだ。

しかし現実には、

「来ると空気が悪くなる」 「話がややこしくなる」

そう嫌われる戦略家もいる。

なぜか。

降り方を間違えるからだ。


嫌われる瞬間① 現場を“評価”し始めたとき

現場の人間が一番嫌うのは、 理解ではなく採点だ。

・このやり方は非効率ですね
・レベルが低いですね
・意識が足りないですね

本人は改善したいだけかもしれない。

だが現場からすると、 見下されたように感じる。

戦略家が現場に降りた瞬間、 監査官になってしまう。

この瞬間に反発が生まれる。


論語の言葉(里仁篇)

「己の欲せざる所、人に施すこと勿れ。」

自分が言われて嫌なことを、 他人にするな。

現場に降りるなら、 まずこの姿勢が必要になる。


嫌われる瞬間② 現場の苦労を“知らないふり”をしたとき

現場は日々、矛盾の中で回している。

リソース不足。

顧客の無理難題。

上層部の方針変更。

それでも現場は、 壊れないように支えている。

そこに来て戦略家が、

「なぜできないんですか?」

と言った瞬間、 空気が凍る。

それは質問ではなく、 無理解の宣言に聞こえる。


論語の言葉(顔淵篇)

「仁者は人を愛す。」

仁とは、 相手の事情を理解しようとすること。

現場に降りるなら、 まず敬意が必要だ。


嫌われる瞬間③ 正論だけを持ち込んだとき

戦略家は正論を言える。

だが現場が欲しいのは正論ではない。

「じゃあどうするか」だ。

・理想論を語る
・数字だけを押し付ける
・KPIだけを持ち込む

これをやると、

「また上が余計なことを…」

となる。

現場は、 正しさでは動かない。

現実で動く。


嫌われる瞬間④ 現場の人間を“道具”として扱ったとき

戦略家が最も嫌われる瞬間は、

現場を人として見ず、 実行装置として扱ったときだ。

「この施策、来週までに回してください」 「やればできますよね?」

この瞬間、 現場は戦略に協力しなくなる。


論語の言葉(子路篇)

「君子は和して同ぜず。」

戦略家は押し付けてはいけない。

同調を強制すれば、 和は壊れる。

和とは、 相手を活かしながら進めることだ。


まとめ:現場に降りるだけでは足りない

現場に降りることは正しい。

だが降り方を間違えれば、 ただの侵入者になる。

現場が嫌うのは、

・採点
・無理解
・正論の押し付け
・人を道具扱いする態度

論語が示す通り、

仁と和がなければ、 組織は動かない。

現場に降りる戦略家は、

現場を変える前に、 現場を尊重しなければならない。

そこを外した瞬間、 戦略は敵になる。