協働が求められるほど、現場は疲れていく
最近の職場では、
「協働」「チームワーク」が
強く求められます。
しかしその一方で、
- 誰が決めるのか分からない
- みんなで話しているのに進まない
- 責任の所在が曖昧
そんな疲労感が
増えていないでしょうか。
協働が壊れる原因は、人間関係ではない
協働がうまくいかないと、
人はすぐに
- 相性が悪い
- コミュニケーション不足
- 思いやりが足りない
と考えます。
けれど本質は、
そこではありません。
多くの場合、
立場と役割が混線しているのです。
論語が示す「立場を越えない」知恵
子曰、君君、臣臣、父父、子子
(論語・顔淵 第十二)
【現代語訳】
君は君として、
臣は臣として、
父は父として、
子は子としての役割を果たす。
この言葉は、
上下関係を固定するための
教えではありません。
それぞれが、
自分の立場を引き受けること
の重要性を示しています。
協働を壊すのは「善意の越境」
協働の現場で
よく起きるのが、
- 決定権のない人が決めに行く
- 任されていない領域に口を出す
- 責任は取らずに意見だけ言う
こうした
善意の越境です。
本人は協力のつもりでも、
境界が曖昧になるほど、
協働は壊れていきます。
協働とは、役割を曖昧にすることではない
協働という言葉が、
誤解されやすい理由は、
「みんなでやる=境界をなくす」
と考えてしまうからです。
実際には逆です。
- 誰が決めるのか
- 誰が責任を持つのか
- 誰が補佐するのか
これが明確なほど、
協働は機能します。
立場を守る人ほど、信頼される
協働がうまい人は、
- 自分の決定範囲を超えない
- 他人の領域を尊重する
- 必要なときだけ踏み込む
この距離感を
自然に守っています。
だからこそ、
安心して任せられます。
論語が語る「乱れ」の正体
名正しからざれば、言順ならず
(論語・子路 第十三)
【現代語訳】
名前(立場)が正しくなければ、
言葉も行動も乱れる。
役割が曖昧な組織ほど、
議論は増え、
決断は遅れます。
これは能力ではなく、
構造の問題です。
協働がうまくいくと、対立は減る
立場が明確になると、
- 意見の違いは対立にならない
- 役割の違いとして整理できる
- 感情的な衝突が減る
協働は、
仲良くするための仕組みではなく、
衝突を構造で処理する仕組み
になります。
協働とは、同じ方向を見ること
協働とは、
- 同じ意見を持つことでも
- 全員が納得することでもありません。
それぞれの立場から、
同じ方向を見ることです。
そのために必要なのが、
役割と責任の明確さです。
まとめ:協働は、立場を引き受ける勇気
協働がうまくいかないとき、
努力や思いやりを
足そうとしがちです。
しかし論語が示しているのは、
それ以前の話。
- 自分はどこまで担うのか
- どこからは他者に委ねるのか
この線を引き受けること。
協働とは、
境界をなくすことではなく、
境界を理解したうえで並ぶこと
なのです。